第18回スタミナ制:なぜ「制限」がある方が遊んでしまうのか

ゲーミフィケーション

スマホゲームを遊んでいて、
「あと少しでクリアできそうなのに、スタミナが切れた…」
そんな経験はありませんか?

制限があると本来なら“やめる”方向に働きそうですが、
多くの人は「次に遊べるタイミング」を楽しみに待つようになります。

つまり、スタミナ制は制限なのに、継続を生む仕組みなんです。

心理学でいう「希少性」と「ツァイガルニク効果」

人が制限に惹かれるのは、心理的な理由があります。

1️⃣ 希少性の法則(Scarcity Principle)
「手に入りにくいものほど欲しくなる」
→ 無制限に遊べるより、「限られたチャンスしかない方が価値を感じる」

2️⃣ ツァイガルニク効果(Zeigarnik Effect)
「中断された行動ほど、頭の中に残り続ける」
→ スタミナが切れて中断されると、「続きが気になる」状態になる

つまりスタミナ制は、
“人の脳が気にしてしまう仕組み”をうまく利用しているんです。

「待つこと」が行動を強化する

スタミナ制のもう一つの面白さは、待ち時間そのものがモチベーションになること。

たとえば:

「あと10分でスタミナ回復!」

「寝る前に回復するから、朝またやろう」

このように、プレイを生活のリズムに組み込む効果があります。
毎日の“習慣化”を自然に促すデザインなんです。

制限が「やる気スイッチ」になる理由

制限があると、プレイヤーは「どうすれば効率的に遊べるか」を考え始めます。

たとえば:

「スタミナを無駄にしないよう、朝と夜にログインしよう」

「スタミナ回復アイテムを貯めておこう」

「次のイベントに備えてスタミナを温存しよう」

こうして行動の計画性と継続性が自然に生まれる。
“自由に遊べる”よりも、“限られているからこそ考える”わけです。

ゲーム以外のスタミナ制の応用

実は「スタミナ制的な制限」は、
日常のサービスにも多く応用されています。

分野制限の目的
学習アプリ1日10問まで毎日続ける習慣化
健康アプリステップ目標の上限無理せず継続させる
ECサイト期間限定クーポン行動のきっかけ作り
サブスク無料プランの回数制限有料化への導線

“やりすぎ防止”と“次への期待”を両立する、
まさに「持続的エンゲージメント」の設計です。

やりすぎると「不自由さ」に変わる

とはいえ、制限は諸刃の剣。

スタミナの回復が遅すぎる

プレイ時間を強制的に止める

回復アイテムを課金でしか得られない

こうした設計は、「自由を奪う不快感」に変わってしまいます。
大事なのは、ユーザーが“制限を自分でコントロールできる感覚”を持てること。

たとえば:

広告視聴や行動報酬で回復できる

スタミナを貯めておける

イベントごとに上限が変わる

このように、制限の中に選択肢を与えることが重要です。

まとめ

制限は「希少性」と「中断効果」を生む

待つ時間が“次の行動”への動機になる

無制限より、少し足りないくらいがちょうどいい

ただし、プレイヤーが「選べる余地」が必要

次回は第19回「イベント:期間限定が燃える心理」。
“いましか手に入らない”がなぜ人を動かすのか。
その裏にある心理メカニズムと応用法を探ります。

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