ゲームを遊んでいると、「フレンド機能」や「協力プレイ」があるタイトルが多いですよね。
単に遊ぶだけでなく、友達と一緒にチャットしたり、アイテムを送り合ったり、
助け合ったりできる――それだけで、続ける理由ができてしまう。
これは偶然ではなく、しっかりとした人の心理に基づいた仕組みなんです。
人は「つながり」でやる気を保つ生き物
心理学の世界では、人間の基本的な欲求として
「所属欲求(Belongingness)」というものが知られています。
簡単に言えば、「誰かとつながっていたい」「仲間でありたい」という気持ち。
この欲求が満たされると、安心感や充実感が生まれ、行動の継続につながります。
たとえば:
一緒に遊ぶ友達がいると、ゲームをやめにくい
勉強仲間がいると、モチベーションが保てる
ジムで知り合いができると、通うのが楽しくなる
つまり、「誰かがいる」ことが最大の継続装置なのです。
ゲームでの「フレンド機能」はなぜ効果的なのか
多くの人気ゲームでは、フレンド機能が継続率を大きく高めています。
その理由は3つあります。
応援や協力のやり取りがうれしい
→ 「助けてもらった」「お礼をしたい」が関係を育てる。
進行が共有されることで刺激を受ける
→ 「あの人もうこんなに進んでる!」という軽い競争心。
やめると“迷惑がかかる”心理
→ チームプレイなどで「自分の行動が他人に影響する」ことが、継続を促す。
こうして、プレイヤーは「自分のため」だけでなく「誰かのため」にも続けられるようになるのです。
日常アプリでも「仲間の存在」がカギ
この考え方は、ゲーム以外の分野にもどんどん応用されています。
学習アプリ(例:スタディプラス)
→ 同じ目標を持つ仲間の記録が見える。
運動アプリ(例:Nike Run Club, Fitbit)
→ 走った距離をシェアしてお互いに応援できる。
習慣化アプリ(例:みんチャレ)
→ 仲間同士で写真を送り合い、「今日もやった!」を共有。
こうしたアプリは、“一人では続かないこと”を“仲間がいるから続けられること”に変えています。
仲間がいると「行動の意味」が変わる
一人で頑張ると、「今日はサボってもいいか」と思いやすいですが、
誰かが見ていて、応援してくれると、「期待に応えたい」と感じます。
つまり、フレンド機能は「行動の理由」を変える仕組みなんです。
一人のとき:自分の気分で動く
仲間がいるとき:人とのつながりで動く
この“心理のスイッチ”が入ることで、継続率が劇的に変わります。
注意点:つながりすぎは逆効果にも
一方で、フレンド機能がストレスになるケースもあります。
義務感が強くなる(「毎日返信しなきゃ」)
比較で落ち込む(「あの人すごいな…自分は…」)
プライバシーの負担(「見られている感じがする」)
大事なのは、“ゆるいつながり”を保つこと。
お互いを強制しない関係が、もっとも長く続く関係です。
まとめ
人は「つながり」でモチベーションを保つ
フレンド機能は、継続を支える心理的な支柱
一人では難しい習慣も、仲間となら自然に続く
ただし、無理な関係は逆効果。ゆるさが大事
次回は第17回「ガチャ:偶然の報酬がクセになる理由」。
“偶然のドキドキ”がなぜ人を引きつけるのか?
心理学的な報酬設計の仕組みを分かりやすく解説します。
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