第24回社内研修・社員教育に使われるゲーミフィケーション

ゲーミフィケーション

多くの企業が抱える悩みのひとつに、
「研修が退屈で身につかない」という問題があります。

受講しても記憶に残らない

モチベーションが続かない

参加者が“受け身”になりがち

これを変えるのが、ゲーミフィケーションによる研修設計です。

学びや評価の仕組みに“ゲームの楽しさ”を取り入れることで、
社員が“自ら動く”研修体験を生み出せます。

「学び × ゲーム」の代表的な仕組み

ゲーム的仕掛け社内研修での例狙い・心理効果
🎯 ミッション形式「今日の課題をクリアしよう」学習目標の明確化
📈 レベルアップ習熟度に応じてレベル上昇成長の可視化・達成感
🏅 バッジ・称号「認定リーダー」「応用修了バッジ」承認・モチベーション向上
🧠 クイズ・シナリオ形式選択肢を選んで進む学習参加意欲の維持
🤝 チーム戦部署対抗・同期対抗チャレンジ協力・競争意識の促進
🎁 ごほうびポイント・評価・景品など行動の強化・継続化

たとえば「コンプライアンス研修」や「新入社員教育」など、
堅いテーマほど“ゲーム的構造”が効果的に機能します。

学習の仕組みは「ごほうび」より「達成感」

研修のモチベーションを上げるために、
単純にポイントや報酬を与えるだけでは不十分です。

本当に大切なのは、「自分が成長している」と感じられる瞬間。

レベルアップやスキルツリーで、学習の進歩が見える

過去の自分より“理解度が上がっている”ことがわかる

これらが「学びの内的報酬」となり、
社員の“自発的な成長意欲”を引き出します。

実例:ゲーミフィケーション研修の導入事例

💡 例1:日本マイクロソフト

セキュリティ教育にクイズ形式を導入

チームごとの得点を競わせる仕組みで参加率アップ

受講者満足度が前年比約40%向上

💡 例2:Salesforce(海外)

社員トレーニングプラットフォーム「Trailhead」を導入

学習すると“トレイルバッジ”がもらえ、称号が可視化

スキル習得が“冒険ゲーム”のように進行

💡 例3:国内企業(例:リクルート・トヨタ)

OJTの進捗をレベル形式で管理

部署ごとに“経験ミッション”を設定

目標達成が可視化され、上司・部下間のコミュニケーションも活発に

心理効果①:競争と協力のバランス

ゲーミフィケーション研修では、
「個人の競争」だけでなく「チームの協力」を同時に設計することが重要です。

競争だけだと疲弊しますが、
協力を取り入れることで“共に学ぶ楽しさ”が生まれます。

ゲームでも“レイド戦”や“協力プレイ”が人気なように、
社員教育でも「一緒に成長する体験」がモチベーションになります。

心理効果②:「進捗が見えると続けたくなる」

従来の研修は、「受けた/受けてない」だけで終わりがちでした。
しかし、進捗を数値化・視覚化することで、
自分の学びを“積み上げていく感覚”が生まれます。

「あと2つで修了バッジがもらえる」
「チーム全員がレベル5を達成した」

こうした“あと少し”の設計が、自然な学習継続を生みます。

心理効果③:「上司からの承認がごほうびになる」

ゲームのバッジがうれしいのは、
“誰かに認められる”から。

研修も同じで、
「○○さん、応用課程クリアおめでとう!」と
社内SNSや朝礼で称賛されるだけで、
行動意欲は大きく変わります。

これは心理学でいう「社会的承認」に基づく報酬です。
モチベーションの根源は“褒められる”ことにあります。

ポイント:強制ではなく「選べる」設計に

ゲーミフィケーション研修を成功させるコツは、
「やらされている」から「自分で選んでやっている」状態に変えること。

自分でテーマを選べる

興味ある順にチャレンジできる

難易度を調整できる

こうした“プレイヤーの自由度”が、
自発的な参加を生み出す鍵になります。

応用例:日常の学びにも使える設計

シーン応用例
社内研修ミッション式・スコア表示
営業トレーニング成績でバッジ付与・社内称号
eラーニングクイズ形式・シナリオ学習
チーム育成協力ミッション・進捗共有

研修を「一方通行」から「体験型」に変えることで、
社員が“学ぶことそのもの”に前向きになります。

まとめ

ゲーミフィケーションは「学びを自分ごと化」する力を持つ

レベル・バッジ・協力プレイで、モチベーションが循環

強制よりも「選択と達成感」を重視することで定着率が向上

次回は第25回「マーケティングやキャンペーンのゲーミフィケーション」。
“買いたくなる・参加したくなる”仕掛けはどう作られているのか?
企業が顧客を動かすための心理設計を解説します。

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